自社開発製品でSDGsに取り組む(1/3)
2019年から着手した自社開発製品「ヒノキチップ焚き蒸発乾燥機」がついに完成!開発に当たった設計開発部の技術顧問や開発課長にじっくりインタビューしましたので、これから3記事にわたってご紹介します。
▶まずは、何のための装置か教えてください。
地域密着型のリサイクルを実現する装置ですね。
高知はユズの生産量日本一。また、森林面積が広く林業も根付いています。これらを活かして、ユズやヒノキの精油(アロマオイル)をつくっている企業があります。「エコロギー四万十」という企業で、精油の他にも四万十の資源をもとに様々な商品を手掛けています。
精油をつくると、搾りかす(残渣)が残り、産業廃棄物として処理しなくてはいけないのですが、処理費用が高くて、この企業は困っていたんですね。そこで、ユズとヒノキ両方の廃棄物を有効利用し、自然にもやさしく、コストも削減できるという一石二鳥な装置を考えたのです。
▶具体的には、どのように有効活用・処理するのですか?
ユズの残渣はどろっとした液状で95%は水です。なので、加熱して水分を飛ばせば残渣は減り、処理費用がうんと安くなります。ではどうやって加熱するか。ヒノキオイルを取り出した後の廃材、ヒノキチップを乾燥させ自然由来のクリーンな燃料として有効活用しようというわけです。
▶開発はどのような手順で進められましたか?
まず、完成版の半分の大きさ(処理できる残渣の量が半分)の小型試作機を、エコロギー四万十さんと共同開発という形で開始し、基本の技術と機能を確認するのに1年ほど。2年目に、完成版と処理量が同じ実証機を作り、同社に納めました。今年で3年目ですが、実証機を同社で稼働させ、不具合がないか、さらに工夫できるところはないか調整を重ね、ついに順調稼働となりました。これで本開発の第1フェーズは完成です。
▶嬉しいですね!これが第1フェースということは、第2フェーズがあるのですか?
ヒノキチップを燃料にしてユズの残渣の水分を蒸発させ、残渣を35%程度にまで減らすのが第1フェーズ。これをさらに乾燥させ水分量を15%程度の粉末状にし、家畜飼料にするという構想が第2フェーズで、これからの挑戦です。
長い戦いですが、第2フェーズも楽しみです。次の記事では、この機械のポイントを設計の面からご紹介します。
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