設計開発・加工事例

自社開発製品でSDGsに取り組む(2/3)

この記事では自社開発製品「ヒノキチップ焚き蒸発乾燥機」のポイントを設計の面から紹介します。

 

▶ずばり、この装置のポイントは何ですか?

シンプル!ローコスト!コンパクト!の3拍子揃っているところです。

 

▶たしかに、着想がシンプルで飲み込みやすいので、安心感がありますね。2つめのローコストというのは?

他社の既存装置と比較して説明しますね。残渣の水分を飛ばす装置はすでに存在しますが、加熱方法がマイクロウェーブで、かなりの大型装置です。

 

▶マイクロウェーブということは、電子レンジみたいなものですか?

まさに、ものすごく大きい電子レンジです。装置全体では億単位の値段ですし、ランニングコストとして多額の電気代がかかります。大手企業なら、大型で高額な機械も買えるでしょうけど、地域の小さな企業では手がでません。

 

▶それに、産業廃棄物を減らしてエコかと思いきや、電気を使っているので、エコでもないような・・・

そうですね。対して当社の開発した装置は、燃料もまた廃材であるヒノキチップ。無料で手に入るもので、カーボンニュートラルな燃料ですから、地球にもお財布にも優しい!

 

▶では、コンパクトというのは?

構造を簡単に説明すると、大量のヒノキチップをチップサイロに入れておき、そこから適量のチップが燃焼炉に送られ、チップが燃えて、どろっとした液状のユズ残渣が煮えて水分が蒸発していく、というものです。

従来型は砂時計みたいな自然落下方式なので、チップサイロが燃焼炉より2mほど高い位置にないといけなかった。それをほぼ横並び、0.5m差まで縮められたのでずっとコンパクトになりました。

 

 

▶「適量の」ヒノキチップを燃焼炉に送るという点が気になるのですが…どんどん燃やしてがんがん蒸発させればよいのでは?

そうだったら簡単ですが…ユズの残渣は加熱しすぎると吹きこぼれるんです。ちょうど、牛乳を沸かし過ぎた時のように。だから、沸かしすぎないよう温度を調節するため、燃焼炉へ送るチップの量は適量でないといけない。ユズの残渣は何℃で吹きこぼれるのか、どれくらいチップを送るとどれくらい温度が変わるのか、それらを調べながら、調節機能を開発していきました。

 

▶どうやって燃焼炉へ送るチップの量を調節しているのですか?

チップサイロの中に設置した揺動板が鍵です。すのこ状に細長い板が数列並んでいて、各板を時計回し(順転)・半時計回し(反転)ができます。回転すると板に隙間ができてチップが落下します。順転と反転の秒数を調節することで、隙間が開いてから閉じるまでの時間が変わるので、落下するチップの量も変わります。それに加えて、吹きこぼれる前に、チップの供給を一時停止するという機能も開発しました。

 

▶ユズの残渣の特徴にあわせた機能なんですね。ヒノキチップに関してはどうでしたか?

ヒノキチップを「目詰まりせず」燃焼炉まで送るというのが実は大変で。木質材は湿気を含みやすく、チップ同士がくっついて塊になり、目詰まりを起こすのがやっかいです。それを解消するのが、揺動板付きチップサイロと、燃焼炉へと続くスプリングフィーダーです。ちなみに、この技術は特許出願・公開です!

 

▽特許概要説明図

 

▶ゆずの残渣もヒノキチップも一筋縄ではいかない物だったんですね。

難しい材質でしたが、それによって当社の技術や経験値が蓄積されたと思います。

 

次の記事では、当社の開発体制や、今後の目標をお伝えします。

 

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